そもそも”カリキュラムマネジメント”とは?

カリキュラムマネジメントとは、
学校と地域一体で、社会の課題や生徒の特性に合わせながら、柔軟かつ継続的に教育課程を改善していくカリキュラム運用方法のこと。

このページでは、カリキュラムマネジメントについて、具体的な事例や実践方法を交えて、より詳しく解説していきます。

先生のこんな悩みに役立ちます

カリキュラムマネジメントの基本は、これまで先生がそれぞれ行っていた授業の工夫を、学校(学年)全体で足並みを揃え、より効果的なカリキュラムにすることです。これまで総合的な学習や道徳の時間、行事の時間などを使って進めていたことを、一気に変える必要はありません。

このページでは、そんな入門的に始められるカリキュラムマネジメントを解説します。また、下図のようなカリキュラムマネジメントを全面的に導入する取り組みも、次世代教育・産官学民連携機構(以下CIE)の事例を用いて、詳しく説明していきます。

今なぜ必要なのか?

カリキュラムマネジメントは通称「カリマネ」とも呼ばれ、文部科学省では以下のように定義しています。

「『社会に開かれた教育課程』の理念の実現に向けて、学校教育に関わる様々な取り組みを、教育課程を中心に据えながら、組織的かつ計画的に実施し、教育活動の質の向上につなげていくこと」

※「カリキュラム・マネジメント」-文部科学省ホームページより引用

幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校における新しい学習指導要領から提起された、最新の教育課程運用方法です。

カリキュラムマネジメントで目指すのは、子どもたち自身が、自分の学習した内容を自分の生活や夢そして地域や社会の活動と結び付けて考えられるようになること、生涯にわたって社会の変化に対応できる資質や能力を身に付られることです。

新しい学習指導要領に変わったことで、教育の現場は複雑化しています。通常の教科だけでなく、総合学習・探究学習・アクティブラーニング・ルーブリック・キャリア教育などの多様な取り組みへの対応が求められる中、カリキュラムマネジメントは、よりスムーズに教育課程を計画し、さらにはその効果を最大化するのに役立つはずです。

活用の流れと進め方

学力以外のスキルを伸ばすために、各学校は、総合的な学習の時間、道徳の時間、行事の時間などを使いながら、生徒の学びとなる授業づくりを行っています。

以下の図は、総合的な学習の時間を使ったカリキュラムマネジメントの流れの一例です。大切なことは、カリキュラムマネジメントの目的や地域、学校、生徒・児童の状況に合わせてカスタマイズをしていくこと。教育課程(カリキュラム)の作成だけで終わらせず、準備→計画→実行→確認→改善のループで授業をブラッシュアップしていくことで、学習の定着を目指していきます。


生徒側・学校側のメリット

カリキュラムマネジメントの実践は、生徒・児童側、学校・先生側のどちらにも多くのメリットがあります。


生徒・児童へのメリット:
これからの社会に必要な実践力と個性の育成

学校・先生へのメリット:
理想的な総合教育の実現と負担軽減

成功させる3つのポイント

カリキュラムマネジメントを成功させるのに大切な3つの側面があります。

「カリキュラムマネジメントの3つの側面」は、文部科学省が新しい学習指導要領で示したもので、教育効果を最大化させるための近道です。

✔︎学校教育の効果を常に検証して改善する

カリキュラムマネジメントの運用中は、継続的にPDCA(計画・実行・確認・改善)をまわしていきましょう。

毎回同じカリキュラムを使い回すのではなく、生徒の現状、学習プログラムの効果・課題などをモニタリングしながら、その時代に生きる生徒のスキルや各学校が目指す人物像、生徒の発達ステージに合わせて、継続的かつ柔軟に教育カリキュラムを改善していくことが大切です。

✔︎教師が連携し、複数の教科等の連携を図りながら授業をつくる

カリキュラムマネジメントの対象は、単一の教科に限られません。教育とは本来、教科の学習で完結するものでなく、そこで得た学びが社会で生き抜くために発揮できることが重要です。

中でも、総合学習や探究学習においては、社会科や数学、英語など生徒が教科で学んだ知識を水平活用していくことが、社会の課題を解決する総合的な力につながります。例えば、英語や社会の時間で学んだ知識を学力テストのためだけで終わらせず、総合学習の時間と組み合わせて応用する機会をつくることで、生徒の生きる力を養う機会を実現できます。

✔︎地域と連携し、よりよい学校教育を目指す

カリキュラムマネジメントでは、生徒たちが社会に出た時に、彼らの資質や能力を存分に発揮できるように、教育のプロセスで社会や地域とのつながりを意識させることを重視しています。生徒のほとんどは親や教師以外の大人との接点がつくりづらく、身の回りの課題を発見しそれを解決する力を養うには、学校の力だけでは十分でないことも多いと言えます。

地域の人や企業、地域の商店街やサービスなどと連携しながら、教育の機会と接点をつくっていきましょう。
例えば、地域のお祭の実行委員会の方とコラボレーションしながら、生徒が地域の課題を発見し、自分事化しながら取り組む授業が良い例です。

さあ、カリキュラムマネジメントをはじめましょう!

カリキュラムマネジメントは、内容を理解するだけではなく、実際に学校内の関係者を巻き込みながら進めていくことが大切です。最初から完璧を目指す必要はありません。

まずは取り入れやすいところから、はじめてみませんか?

⚫︎カリキュラムマネジメントをもっと理解する

カリキュラムマネジメントを実際に導入している事例を参考にして、より理解を深めましょう。
CIEでは、教育現場・行政・企業・個人・NPOの連携をつくり上げ、学校の先生方がカリキュラムマネジメントを導入するお手伝いをしています。

⚫︎カリキュラムマネジメントを共有する

カリキュラムマネジメントの活用は、組織的に取り組むことが必要です。
このページやまとめのPDF資料をぜひ一緒に取り組む他の先生にも共有して、スムーズな導入を目指しましょう。

⚫︎取り組みやすいルーブリックからはじめてみる

いきなりカリキュラムマネジメントすべてを導入することにハードルを感じる場合は、入門編としてルーブリックの導入からはじめてみるのがおすすめです。ルーブリックとは、学力テストのように点数では測れない学習活動(アクティブラーニング、総合学習、探究学習など)において、決められた評価指標を使うことで、生徒の能力を評価しやすくするツールです。

CIEでは、どなたでも簡単にルーブリックを導入できるように、充実した資料やソリューションを用意しています。

⚫︎学習プログラムをイメージしてみる

CIEが運営するWebサイト「BEE-Together」では、ビジネススキルやテクノロジー、働き方のインタビューなど多様なコンテンツを公開、様々なNPOや団体が、出張授業やお試しの1コマ授業などのプログラムも提供しています。
BEE-Togetherを活用して、教育に取り入れたいテーマや気になるコンテンツを事前に探してみましょう。
例えば、生徒たちが地域の大人に取材する機会に備えて、インタビュースキル習得の講座を1コマ取り入れるなど、直近の課題の解決に活用してみるのも良いでしょう。

⚫︎CIEに相談してみる

CIEは、企業、政府・役所、民間と連携して、カリキュラムマネジメントをはじめとした次世代教育の普及活動をしている一般社団法人です。いきなりカリキュラムマネジメントに網羅的に取り組むことは、どの先生にとってもハードルを感じることです。CIEは多くのノウハウやメソッドを持っていて、いつでも先生方の力になりたいと願っています。
単発プログラムの実施や、カリキュラムマネジメントの運用サポート・伴走、その他の困りごとのご相談は下のボタンからお気軽にお問合わせください。
※いずれも基本的に無料です。