カリキュラムマネジメントをフル活用!
学校スローガン”グローバル社会でたくましく生きる”を形に。 

柏市立中原中学校

#中学校 #カリキュラムマネジメント #グローバル社会 #ルーブリック #発信力 #千葉県

概要

カリキュラムマネジメントを用いた総合学習の実施

学校名

●取り組みの背景は?

4月に新たに赴任した学校で学年主任となり、さらに学校長より総合的な学習の担当として指名された牧野先生。

総合的な学習におけるメインの担当になることは初めてで、どう進めたら良いか戸惑ったそう。

特に、総合的な学習の時間で課題解決型の学習を取り入れてはいるものの、

実際にどのプログラム・授業が、生徒のどんなスキルを伸ばせているのか、またグローバル社会でたくましく生きていける力が身についているのか、評価に課題を感じていました。


学校が目指す「グローバル社会でたくましく生きる力を伸ばしたい」というスローガンを達成するためには、カリキュラムマネジメントを実施できるパートナーが必要だと思い至りました。 

●どんな取り組みをはじめた? 

中原中学校ではまず、3年間のカリキュラムマネジメントについて、「準備→計画→実行→確認→改善」というCIE式のサイクルに則りながら実施していくことにしました。

はじめに、実施する1年生の生徒たちの特徴を次世代人材ルーブリックで可視化。

学校が目指す生徒像や課題を踏まえて進め方そのものから検討。

生徒たちの状況や特性に柔軟に寄り添いながら、学期ごと・進級ごとに実施と改善を繰り返していきました。 

1年目:次世代人材ルーブリックの実施

2020年度(中学1年生時)は、まず生徒の現状の現状を把握するべく、次世代人材ルーブリックの導入からスタート。

学生の変化を可視化するために、ルーブリックにある取り組み姿勢やスキルなどの評価項目の中でも、特に学校として変化を計測したい項目を定めることから始めました。生徒にはGoogleフォームを使って自身の振り返りを入力してもらい、回答結果は、CIEが数値化して分析。生徒の現状を把握し、学校の目指すスローガン「グローバル社会の中で生き抜く力」を養うためには、どんなプログラムを実施すればよいか議論を重ねながら、カリキュラムのスケジュールを組んでいきました。次世代人材ルーブリックは、プログラムを実際に進めながら、各学期末で実施します。

はじめに変化を計測しておきたい項目を定めていたので、どんな学習でどんな変化が起きたのかを担当職員が確認しながら進めることができました。 

授業プログラム例

2年目:課題分析とその課題に適したカリキュラムの導出

中学1年生の最後に取得したルーブリックや学習の内容から、自分たちの課題は「発信力(次世代人材ルーブリックの評価指標の1つ)」であると気付いた学生たち。普段親や先生以外の大人と接する機会があまりない生徒たちにとって、それ以外の大人とどのようにコミュニケーションをしていったら良いかが分からないという課題も出てきました。
先生は、生徒にとって距離が近すぎる存在。学校内だけで学習の場を作っていくことに限界があります。そこで、2021年度(中学2年生時)は、実際に社会で活躍する大人と関わりながら、ただ聞くだけの一方的なコミュニケーションではなく、自ら動きアプローチする実践の機会を設けていきました。 

授業プログラム例

3年目:これまでの探究学習を総まとめ

学校として伸ばしたいスキルの1つであった「発信力」にさらにフォーカス。

”修学旅行で体感したこと”や、”中原中学校の魅力”というテーマで、小学生・下級生・保護者・外国人などに向けて生徒全員がプレゼンテーションを実施しました。 

2022年度(中学3年時)は、3年間のカリキュラムマネジメントを用いた学習の集大成として、「国際理解」をテーマにしつつ、1年生の時にやり取りを行った、ユニカセで活動しているフィリピンのボランティアの方々に向けてプレゼンテーションを行うことに。英語教科と連携し、英語で学んだことを活用する場として、英語科目の時間を使いながらシナリオやスピーキングの準備を進めていきました。

ボランティアとして、学校教育に関心をお持ちの企業様も招いて、リアルなフィードバック・コメントもいただきました。普段接することの少ない学校外の人と関わる機会をもった上で、進学や就職などに臨むことができたのはキャリア教育上大きなメリットになりました。 

授業プログラム例

●実施結果~先生のコメントから~

元柏市立中原中学校 学年主任
牧野尚斗先生

当時は、1学年の主任を任されると同時に、ルーブリックを活用した3年間の総合学習カリキュラムを組み立ててほしいと言われ、正直戸惑いを感じていました。ルーブリックの活用も、新しい取り組みになるので、大きなハードルと感じていました。しかし、コロナ禍で生徒の活動内容やコミュニケーションに制限がある中で、新たな学習方法を模索しつつ生徒の感じ方や変容を見取っていくことが重要なのではないかと考え、学年の先生方とも相談し前向きに進めていくことにしました。

NPOや企業と協力して授業を組み立てながら学期ごとにルーブリックを実施していくことで、数値やグラフという分かりやすいデータで、各学級の個性や学年集団としての成長の浮き沈みなどが分かるようになりました。出てきたデータから学年の課題を見出し、実態に合わせた学習内容を考えることもできました。また、データを生徒にフィードバックすることもでき、職員と生徒が共通の課題意識を持って活動することができたことも有意義だと感じています。生徒自身が回答した内容がデータとして表れることで、先生などの他者からの評価とは違った受け取り方をしていたように思います。

学校内外や国外の多様な人との関わりの中で、日々の学校活動では味わうことのできない多くの学びを行うことができました。ルーブリックも、継続して行っていくことで実施することのハードルも下がり、ポートフォリオとしてのデータの意義も高まっていきます。積極的に活用していくことで、より充実した学習になったと、当時は実感しました。